神主講演に行った話
この記事はKMC Advent Calendar 7日目(12/7)の記事です。
6日目の記事はid:dnekさんの「運ゲー排除マインスイーパーをAndroidアプリにした話と市場に対する雑感」でした。
こんにちは!KMC1回生のasragi(ラギ)です。
11/28にあの同人STG東方projectで有名なZUN氏が熊野寮で講演会をするとのことで軽い気持ちで申し込んだところ抽選に通ったので行ってきました熊野寮
熊野寮に来たぜー pic.twitter.com/FWV3l0Z7jt
— 博麗神主 (@korindo) 2015, 11月 28
ポスターめっちゃかわいい!
ところでそもそも僕が神主講演に申し込んだ理由なんですが、僕が東方project*1のファンだった、というよりは、僕がKMCでの活動としてゲーム作りと音楽作りをメインにやっていたのでそこらへんの参考になればと思ったためです。
もともとメモを取るつもりではいたのですが、周りに東方projectのファンで抽選に漏れてしまった人が多数いて、しっかりログを取って情報共有した方がいいなと思ってログをもとに記事を書くことにしたんですよね。
後から知ったことなんですが講演会はしっかり録画されてて、今はもう講演会ページから視聴できるんですよ。なんのために必死でログ取ったんだ......*2
当日は14:00開演に対して13:20くらいに到着しました。
到着したとき、受付付近でちょっと揉めてる人がいて受付に手間取った以外は随分スムーズに入場できました。揉めてるというか、「Googleマップに表示される熊野寮の位置と実際の熊野寮の位置が違うから対応したほうが良い」みたいな話をしてた。うーん、そんなことがあるのか*3。
開演までの時間は熊野寮の内観を眺めていたり寮内放送に耳を傾けたりして過ごしていました。放送は「ZUN講演会終了後に中庭でメントスコーラ大会やります」とか言ってた。
僕の席はZUNさんの入退場コースに接していたのでZUNさんを間近に見られたんですが、なんというか、写真で見るより随分と若々しく感じられました。
先述の通り講演会の内容自体は動画で全部観られるので、むしろ簡単に内容を終えるよう僕が取ったログのうちから一部を抜粋・要約して以下にまとめます。口調とかまでは拾いきることができなかったのでそこらへんは動画で確認ください。
ZUN氏:グーグルマップを頼りに熊野寮に来たんですけどなんかグーグルマップだと別の地点が表示されちゃって。やっぱり熊野寮は魔窟って感じですよね。講演途中にガサ入れとかあったりして(笑)
・大学時代について
あんまり学校には行ってなかったね。まあ単位が取れるくらいには行ってたけど。起きたらゲーム作ったりゲーセンに行ったりしてたかな。1週間が5日みたいな感じで、長く起きて長く寝て……みたいな。1日が24時間だとせわしなくて。こたつの上にパソコンおいて。その頃はまだインターネットも繋がってなかったからパソコンをつけたらホントにゲーム作るくらいしかやってなかった。
・東方の世界観はどういった経緯で生まれたのか。世界観より先にキャラクターがあったのか?
当時は巫女さんのキャラクターがほとんどなくて、どうしても作りたかったんですよ。すごいマイナーだったんです。その後くらいから急に日本ブームが来て今では巫女さんキャラはいっぱいいるんですけど。巫女というところから他のキャラクターとして妖怪を作っていきました。
・小説について
あまり小説版は商業作品というイメージではやってなかったですね。
小説はゲーム制作の延長みたいな意識でやってたかもしれない。ゲームの負けイベントっていうのがあんまり好きじゃないんですよね。頑張っても勝てないのはイヤだし、でもストーリー上そういうことは必要になるだろうし。小説は世界観を広げるのにちょうどよかったところはありますね。
・男性が主人公でもよかったのでは
今の話でいうと巫女さんが使いたかったからですよ(笑)。あと、女の子たちが戦ってるところに男が参加するとシリアスな展開にするしかないっていうか、シリアスで出てきて負けると恥ずかしいしキャラが作りづらいんですよね。あと弾幕っていうのはあんまり男性的じゃないっていうか。世界にあってないかなって。あとは......女の子の方がたぶんウケる(笑)。
他にも男性主人公は考えてなくもないけど、やるとしてもゲーム以外かな。需要があるのかはわからないけど(笑)。
・アニメは考えていますか
アニメは求められることはあるんだけど今のままだとちょっと厳しいかな。アニメ業界が変わってきたらわからないけど。作るとしたらそれ専用の世界観とかストーリーにしなきゃいけないし。どういうアニメが魅力的かについても勉強しなきゃいけないし。
メディアミックスとかアニメとか原作者が口出せなくなって誰にもコントロールできなくなってる作品ってあるよね。それはちょっと避けたくて。
あとアニメ化すると二次創作がアニメ会社の方からストップかけられるかもしれないしね。
・二次創作を条件付きで許容したきっかけは
条件付きで許容したっていうのはちょっと違って、二次創作があったからそこに後からルールを与えたっていうだけ。訊かれると困るからあらかじめルールを決めておいたって感じ。今だからこそ二次創作にも寛容な人が多いですけど、昔はもっと「二次創作は見逃してもらってるんだ」っていう感覚があって、製作者側も見逃しているんだっていう感じだった。二次創作する人は多いからどうしても二次創作する人の側の方がルールに関してはパワーがあるんですよね。僕の作品の場合は僕一人で作ってるからまだコントロールしやすい方ですけど。
・2002年上海アリスくらいから変わっていない信念などはありますか。最初に1人で作っていた頃から例えば絵柄とか、他の人にも任せたりとかするように変わって来てますけど
もちろん変えようとはしてます。もし信念があるとすれば、その時代に合わせてできる限り変えていこうと。それが変わらない信念ですかね。それは昔から変わってないね。
・会社ではできない?
他の大きな会社からけっこう「こういうの出そう」って話はあったんですけど、会社で作るとどうしてもコンテンツが会社のものになっちゃって、もったいないなーって。自由に作れなくなったら僕の中ではもうおしまいなので。コンテンツは自分のコントロール下にあることが1つの幸せなのかなって。自分の会社でもシューティングを作る話はあったんだけどポシャって。絶対キャラクターの時代が来るし、しかも弾幕シューティングはキャラクターと相性がいいと思ったからね。
・絵や音楽やプログラミングはどう勉強したか
まったくの独学ですね。どうやって勉強するかから試行錯誤でした。近道を使ってできるものって結局誰でも作れるようなものになってしまうので無駄ですよ。いや無駄ではないんですけど。僕としては無駄で。作りたいから作るわけで出来たゲームが欲しいわけじゃないしね。
・日本伝記などの一番の魅力とはなんでしょうか
魅力と言えばやっぱりみんなある程度知ってるってとこだよね。その知ってるものが出てきて、東方でしかない解釈がされているのが、みんな面白いんだと思う。民話とか神話とか。他国のマイナーな伝記のアレンジとかだと創作と変わらなくなっちゃうじゃん。
・神社仏閣を調べるときはどういう調べ方をしますか
普通に観光する。ああ広いなあすごいなあって。興味のある所に行ってネタがあればラッキーみたいな感じかな。取材に行くことはほとんどない。そういうときはインターネットで調べちゃったら早い。
--休憩--
「ZUNさんの講演会終了後、中庭でメントスコーラ大会を行います!ZUNさんもぜひご参加ください!」みたいな放送が流れていた。
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ZUN氏:ゲーム作るのはすっごい楽しいんですよ。ひとつひとつが完成する度に楽しいし、楽しいことをしてたらゲームが完成してる、みたいな。
でも楽しいこと1割つらいこと9割かな。パソコンの前に座ってるのはつらいね。あちこちいたくなるし。
・目標はどうやって見つけていますか
楽しさのために頑張る。楽しさもその時々で変わるでしょうし。一生ゲーム作り続けるとは思ってないし。まあどっかで作らなくなるだろうけどだからといって引退というよりはゆるやかにやめていくかんじになるんだろうけど。将来的にもやってることは違ってくるかもしれないけどむしろより深い楽しみを見つけられたらと思って。まあ居酒屋ですけど(笑)
・2009年以降、コラムが始まったりZUNビールがあってと活動が変わってきつつありますが
このときはすごい二次創作が増える時代でしたね。東方に拘ってゲームを楽しむということが変わってたことと、もう30歳も超えてて体力的にもつらくなってきてたので。「ZUNって人が東方を作ってる」じゃなくて「東方を作ってる人」になろうとしてた。できるだけ表に出て活動してできるだけ東方じゃない話をして、コンテンツを自分に移していこうと。結果として出てきたのがZUNビールだよね。東方としてやってないのに東方のコンテンツになってるよね。アレで人が集まってるならまあ成功かなと。6年前はそういう考え方だった。自分の歳やライフスタイルに合わせていった感じかな。
・ZUNさんはおしゃれですけどゲームクリエイターはおしゃれであるべきでしょうか
ありがとうございます(笑)。おしゃれってわけじゃないんだけど、人前に出るときは特徴をつけようとはしてますね。ハンチング帽とかビールとか。キャラクターでゲーム作ってる人なんだからキャラクター性がないとね。おしゃれになる必要はないけど、人に見られているということは意識した方が良いかな。クリエイターとしては。
・海外のゲームとかインディーゲームとか
ゲーム業界がソーシャルゲームに移行してる中、そうじゃないゲームを求める人もいっぱいいて、チャンスがたくさん転がってたんですよね。スポンサーもつくような流れが。2,3年前は。東方もその流れを無視できなくて。今まさに動いてるようなことだから軽はずみには言えないけれど、ゲームはこれから面白いことが起こりそうだなって思ってる。
ちょっと前に日本はもうだめだから海外市場を見ようとして失敗した動きがあったんだけど今わりとインディーゲームが海外に向かおうとしてて、ちょっと悪い意味で見たことある動きだなあって思って見てる。東方はメインターゲットは完全に日本で、ちょっと海外に行きすぎないよう抑えつつやってるかな。
・最近と言えばスマホの普及がすごいですがスマホのゲームは考えていますか
可能性は全然あるよ。スマホでやらなきゃいけないと思って作ることはしないけど、楽しいことを思いついたら作ると思う。スマホはもう切り離せないしね。PCは残るだろうけど携帯ゲーム機はどうなっていくかわからないよね。スマホは電車の中でも遊べていいんですけど、どうしてもスマホの画面で操作を兼ねるのはゲーム性に制限が出ちゃうからそこを突ければゲーム機もまだまだイケるのかなって。
・東方以外のゲームも見てみたい
僕が作るとどうしても東方になっちゃうんだよね(笑)。僕にコンテンツを移しちゃった以上しょうがないんですが。ビールでさえ東方ですから。ひとつのゲームを作ってそれが成功すれば幸せかなって。
・ずっと同じゲームを作って愛され続けるのはすごいですよね
新しいこと、奇抜なことが楽しいってことではないんだよね。ありがちな若いゲームデザイナーの失敗は人と違うことをやろうとすることだよね。それが面白いこと、個性だと思っちゃうんだよね。そこに裏付けある面白さがあってはじめて創作になるんだよね。
ゲームの中で実験はけっこうしてるんだけどだいたい失敗だよね(笑)。まあ東方だとそのまま出しちゃうんですけど、これは商業の会社だとあんまりできないことだよね。
・続編製作のモチベーションについて
創作に一番重要なのはモチベーションだと思う。モチベーションの折れる一番の原因は「思ってたよりつらい」だと思うんだけど、僕はもうそのつらさを知っちゃってるから、あんまりモチベーションが下がることはなくて、むしろ「思ったよりつらくなかった!」ってテンションが上がることがあるくらいかな。
・何かを作るのに才能は必要でしょうか;何をもってして今のセンスを手に入れたんですか
それはわかんないね(笑)。才能ってのがあんまりピンとはこないけど、まあ才能は必要なんじゃないかなあ(笑)。無いよりはいいよね。
才能が何かってことだけど、例えば絵がうまく描けるとかだったら、それは才能というよりは技術だと思う。勉強すればそれはできるけど。うーん、難しくてなかなか答えられないな。
・来年から社会人です 何か一言アドバイスをください
社会人でコミケの日に有給を取るとバレバレなんですよ。
ZUN氏:僕みたいな頑張り方をすれば僕になれるってことはないです。時代が違うので。僕の話は参考程度に聞いて「ああこういう人もいるんだなあ」という程度に受け取ってくれれば。
うーん、もっと簡潔にまとめてしまうつもりだったんですが、思ったより切り捨てられる部分が無くて長くなってしまいました。
これでも半分くらいの内容しか触れられていないので興味があればぜひ公開されている動画をご覧ください。
最後にプレゼント抽選がありZUNさんのサインが5つ用意されていたんですが僕は当たりませんでした。KMC関係者の当選もなかったようです(たぶん)。
東方の人気はZUNさんの時代の変遷への敏感さに由来するのかなーなどと考えながら家でログを整理してたらその日は寝てしまいました。
実は講演会後にラジオでもZUNさんがお話をされていたんですが聞き逃してしまいました。ラジオも配信されるそうですが。
行った甲斐はあったなあ。
以上、KMC Advent Calender 7日目の記事でした。
明日の記事はSio_puyoさんの「超!エキサイティンッ!」です。
何を書くんですかね......
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